トレッキング天国のニュージーランドの中でも意外と少ない温泉に浸かれるトレッキングコースが南島の西海岸にあります。その有名なコップランドトラックに行ってきました。
昨年の2月にTV番組’世界ふしぎ発見’でも紹介されたので更に知名度を上げたと思われるコップランドトラック。天然の温泉が山小屋直ぐそばに湧き出ていて、1泊で往復することが可能な距離、NZらしい鬱蒼たる原生林の森の中の道を歩けて、そして雨の多いところであるところからいつでも歩けるところではなくて、道のりも危険性を多分に含んだトラックであるところから一種憧れも含んで人気があるこのコップランドトラック、私も98年に初めて行ってから行こうと思っていてなかなか行けなかったトラックでした。
ヨーロッパからのワーキングホリデーでNZに訪れる若者には特に以前から人気があるこのコップランドトラックも、さすがに山小屋の収容能力が限界に来ているようで昨年の9月以降、ここのWelcomeFlatHutというほとんどの人が1泊する山小屋も予約制になりました。逆に言うとおかげで寝る場所の確保のために足早に歩かなければならないことも無くなったのですが、ほとんどの人は天気の様子を見てから前日ぐらいに予約を入れているようです。私は天気予報と相談しながら宿泊する3日前に予約をオンラインで入れたのですが、そのときには31人泊まれる山小屋の予約数は1名、私だけでした。しかし当日このWelcomeFlatHutに泊まった人数は21人に達していました。ほとんどの人が西海岸を旅行しながら天気次第で予約を入れているようでしたが、12月~3月ぐらいまではもっと事前に予約を入れることが望まれるでしょう。
実際歩くコップランドトラック自体の道のりは基本的に原生雨林の森の中を片道17km、標高差は400mほどを登っていくのでほとんど平らなもしくは緩やかな坂道が延々続く感じです。ほとんどの道のりが良く整備されていて特に危ないところは出てこないのですが、気を抜くと危ないところはやはり出てきます。特に河原や森の中の山道でも岩場が多く出てきて、滑って足首を痛めそうなところが多々出てきます。そして雨の日になるとトラックにかなり水が出てくるので足元は確実に濡れます。ここは大雨が数日続くと土砂崩れなどの可能性も高まりトラック自体閉鎖されることもあります。また片道計7回渡ることになる小川にかかる橋ですが、98年以降からこの橋も何度か掛け直されているようで、しっかりした板張りの橋がほとんどになっていますが、2回出てくる吊り橋は最大積載人数が1人という簡素なもので、特に山小屋近くに出てくる最後の吊り橋は河原までの高さが恐らく20-30mぐらいはある吊り橋なので渡るのに尻込みする人もいるでしょう。
WelcomeFlatHutの山小屋は31人も泊まれるほどなので結構快適です。1泊$15というバックカントリーハットのカテゴリーでは最上のものになるでしょう。山小屋にはボランティアですが、管理人も駐在しています。屋外トイレも簡易トイレですが水洗だったのにはビックリしました。恐らく雨が多いからできるのでしょう。
そしてここのハイライトの温泉ですが、山小屋から歩いてすぐそばに湧き出ている源泉をちゃんと温度差が付くように分けて流し込んでいて、40度ぐらいと37度ぐらいと30度ぐらいの水温の3箇所のプールに分けられています。けれどこのプールの底は板張りやコンクリートで固められているわけではないので泥沼のような感じになっていて最初に足を入れるときにはちょっと勇気がいるかもしれません。一旦入ってしまえば慣れてくるのですが、頭や鼻からバクテリアが浸入してくるので頭は付けたらダメと言うことです。
日中入るとサンドフライが水面上に出している部分にたかってくるのでなかなか落ち着くことが出来ないのですが、風があったり、また夜になるとサンドフライは出てこないので特に暗くなってから星空眺めながら温泉に浸かることが出来ます。
日本の人はここにはワーキングホリデーやワークヴィザでNZに長期滞在している人たちが訪れているようですが、短期間トレッキングを目的にニュージーランドを訪れる人もここは是非立ち寄ってほしいトレッキングルートです。
(コップランドトラックの出発点、ここまでFoxGlacierフォックスグレイシャーからならNewmansのバスを利用して往復することが可能だけど、やはり大半の人はレンタカー、及び自家用車で来ています。)
(コップランドトラック自体の道のりはシダの木が生い茂り、鬱蒼たる原生林の森の中がほとんど。鬱蒼と生い茂る森の中だから薄暗いけど雨のときはこれがかなり雨脚を緩めてくれます。)
(急な上り坂は出てこないコップランドトラックだけど河原や森の中もこの岩場がかなり出て行きます。足を挫きそうなところがたくさん出てきます。私も2日目は雨の中のトレッキングになりましたが、濡れた岩場を歩くので足元ばかり見ながら歩くことになります。)
(WelcomeFlatHutに到着する前に出てくるShielsクリークにかかる吊り橋。これがまた一つのハイライトにもなると思うけど河原までの落差が20~30mぐらいあって、釣り橋自体の長さが20~30mほどあるここのトラック上では最長の吊り橋。ここではさすがに渡っている最中に写真を撮ることは避けました。)
(WelcomeFlatハットにはベッドは無く、雑魚寝状態になります。マットレスはあるので寝袋だけ必要。ミルフォードトラックなどのグレイトウォークのカテゴリーではないバックカントリーハットなので自炊にはガスボンベ持参が必要です。)
(ウェルカム・フラット・ハット脇の天然温泉プール。一番熱い水温のプールは日本人でも満足できる水温だと思います。夜暗くなってから入りに行くときはヘッドライトなどが必要です。多くの人が夜も入っていますが、ライトを消すと真っ暗です。)